西アフリカでは奇妙な風評がひろまっていました。
"日本人がラクダでサハラを横断している"といいます。
ほかならぬ彼のことだとは、そのときまで知るよしもなかった。
あの後、彼は大西洋に面しているモーリタニアで10万円だして白いきれいなラクダを手に入れた。
しかし、首都、ヌアクショットの警察で、外人が単独で砂漠にのりだすというので許可がおりず、やむなく闇夜にまぎれて町を抜けだした。
はじめはラクダののり方がわからず、何度も背中から落下したといいます。
ラクダの歩みは遅く、ゆっくりだと時速5キロ、普通でも7キロがせいぜいだ。
一日30キロ進むのがやっとで、日中の暑いときは木かげで休息し、朝と夕方歩く。
途中で道を間違え、数百キロをひきかえしたこともあるといいます。